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2013年の文芸誌上発表作ベスト5

2013年内の更新はこれが最後。今年文芸誌上に発表されて僕が読んだ作品のなかからベスト5を発表するというオナニーランキング。詳しい感想はそれぞれ既出ですので、気になる方は当該記事をご覧になってください。ワーストは発表しません。星ひとつはおしなべて「読んで損した」「腹たった」で僕には理解不能なものばかり。けれどその中には僕の読みが追いつかず理解できていないだけで、もっと読書経験値積めば読めるようになる作品も含まれているかもしれません。


1.吉村萬壱「ボラード病」『文學界』2014年1月号
映像化できない、小説で可能なことをやってのけた傑作。なにはともあれ今読んでほしい。そして10年後、20年後、100年先にだって読み返される価値ある作品です。偽善や欺瞞、安易な感傷を撥ねつけるこの書き手の厳しさ、正直さはこの作品に極まっています。日本語で読めるディストピアものの金字塔がここにうち建てられました。

2.木下古栗「新しい極刑」『すばる』2013年10月号
さまざまの外国語に訳しても全く違和感なく通用するはずの作品。人間やアート(芸術・技術)にまつわる紋切型が饒舌な語りのなかで意味を次々と新生させていきます。比喩ひとつとってもロボット工学や医学用語が読み手に違和感抱かせることなく作品に埋め込まれていて(たとえば「不気味の谷」)、作品の糧となった情報の量と質には敬意を表する以外ありません。この小説の誕生に立ち会えてよかった!

3.いとうせいこう「想像ラジオ」『文藝』2013年春号
読了後死んだ祖父の声が僕にははっきりと聞こえてきました。世間的な評価や文章表現がどうだろうと僕個人にとって忘れられない作品です。

4.荻世いをら「宦官への授業」『文學界』2013年12月号
この書き手の一つの到達点です。「ある」と「ない」の間を行きつ戻りつしながら進行するこの作品は紛れもないフィクションです。一方そうでありながら、たとえば歴史認識を巡って南京事件/大虐殺は「ある」「ない」とか、(いわゆる従軍)慰安婦は「ある」「ない」とかいったホットな話題ともリンクする、しかしそれらを直接は扱わない搦め手のアクチュアリティ(?)のある作品です。

5.鶴川健吉「すなまわり」『文學界』2013年6月号
同回の芥川賞候補作中ではこれが一番よかった。精巧なレンズで接写するかのような描写と五感に働きかけてくる表現はこの書き手の強い武器であることを証明しました。この観察眼を書き手本人にとって馴染みのうすい世界のことにも適用できればきっと本物です。


こんな感じです。未読の作品や苦手な書き手の作品は読む前から敬遠しているのでその中に傑作が埋もれている可能性もあります。だけど文芸誌だけを読む人というわけじゃないので手が回りません。

とりあえず一年をざっと振り返ってみると、当初思っていたよりは駄作が少なかった印象です。5作品読めば1作品は星4つ以上、つまり2割は読む価値があるということであって、これはなかなか。単行本買うより値段は安いし、であれば文芸誌のコストパフォーマンスはわりにいいとも思えます。全国の高校で芥川賞受賞作を購入するところだって少なくないとはずなので、そうであるなら売上向上と未来の読者に唾つけるつもりで学校図書館に営業かけるとかしてみるといいのかもしれません。が、とてもじゃないけどそんな人手も予算もなさそう(笑)。文芸誌受難の時代ですが各誌編集部頑張ってください。ときに悪口いいつつも、誠実な仕事にたいしては応援を惜しまないつもりです。

今年一年、僕の読書感想文につきあっていただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。皆様にとって来年がよき一年となりますように!!
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