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喜多ふあり「望みの彼方」

出典:『群像』2010年5月号
評価:★★☆☆☆

作家の名前が珍しいので読んでみました。ネットで検索してみると本人インタビュー記事があり、

ペンネームは「あえて、こういう作風を選んで書いていることを伝えたくて、ふざけた名前にした」という。「『ふあり』なら女性だろうとの先入観を逆手に取って、読者を翻弄(ほんろう)する。そんな作家でありたい」出典

なのだそうです。まんまとひっかかったー(笑)

肝心の作品は、小説家の卵の妄想生活と現実生活とをパートごとに並列進行させたもの。妄想生活のほうは、逃亡中の殺人犯と自分とを同化させて破綻の度を高めていくのに対し、現実生活の方は明るい将来展望は開けていないものの悲観的な観測もいまのところなく停滞、という風に対置されます。語り手の現実生活を動かすきっかけになるのが大阪にいる女。30歳を期に一番親しくしている異性との関係をひとまず区切りをつけるべく女と話して、おつき合いを続けていこうという形で物語は終わります。

一人称語りで妄想を続けていくパートにこれ読んだ人はたぶん魅かれるんじゃないかと思いますがそこの描き方がいまいちな感じ。基本的に他者との関係は希薄な語り手なので自分の「奇行」の数々に突っ込みをいれてくれる人がいないんですよね。逆に語り手が一方的に周りの奴らはみんな馬鹿だ馬鹿だと繰り返すだけで、自意識過剰っぷりが際立ってしまうという。その過剰っぷりを相対化してくれるような人物なり視点なりがほしいかなと思いました。甘い西瓜に塩かけたらもっと甘く感じられる的な、ね。

現実パートでの疑問としては、大阪の女、なんでこの男に惚れてるんでしょうか。見た目がかっこいいという印象もうけないし、ファッションセンスが優れているとか、経済的にしっかりしているとか、将来有望とか、性格がいいやつとか、それらも別にない男(少なくとも作中には言及なかったはず)で、しかもずっと東京で暮らしているという。特に目立った特徴もなさげな遠距離に住んでいる男、出会いもバイトで数ヶ月一緒にいただけという男、いままで一度もつきあってない男、そういう男になんでこの女がこだわっているのか納得いきませんでした。話を進めるために男に都合よく造形されたいかにも都合のいいキャラです。

全体を通読してほどほどに楽しめたものの、上のような点が気になったので星二つ。
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