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長島有「問いのない答え」

出典:『文學界』2012年10月号
評価:★★★☆☆

作品の終りに「〈連作四・了〉(p.77)」とあるからこの作品にくるまでに3作あったんでしょうね。先日読んだ阿部和重作品と同じ感じでこちらもこれ一作だけで独立して読めました。

ネット上でツイッターやフェイスブックを通じて、つながっているようなつながってないような人たちがすれ違ってゆく中、一人黙々と巨大掲示板に行動や心情書き込み秋葉原に事件を起こした加藤容疑者のことについて描かれてあります。普通に暮らしている人はいまや直接会えない人にたいして、その人にどうせまるか考えるといくつかの言葉があるというのがこの短編の一つのキーでしょうか。もちろん連作なので他も読んでみないと全体のテーマはわかんないですが。

駆け出しの小説家として専門学校で講義をうけもつサキが、「この世に作用する言葉には、報道と、文学と、長淵の言葉がある」というところがおかしみもあり、一つの真実もあり、作中人物たちは大爆笑したとありますが、妙にあと引く言葉として心に残りました。

一つの極端なケースとして加藤容疑者に迫る言葉を探るときに、報道のように(ナイーブな紋切型と知りつつ)正確をめざす言葉があり、そこから漏れ出すもの隠されたものを引き出そうとする小説の言葉があり、有無を言わせず人の芯にガツンと響いて行動させてしまう言葉があり。もちろんこれ以外にも「何種類もの言葉がある(p.75)」はずで、そのまだみぬ言葉、語法を探求するのが小説の生きる道なのかもなあとぼんやり思いました。ほんとぼんやりと。

問いを後から発表して先に答えを募集するツイッター上での遊びが出て来ますがこれがいまいちでした。未分化なそれぞれのつぶやきとしてどんどん流れていく言葉があることはわかるのだけれども、それが作品のなかでどういう位置づけなのかよく分からないのと、単によせられる数々の回答が面白くない(笑)。一般の人が反射的にほいほいしたツイートなんてじっさい考えてみればもともと面白いものではないですね。面白さを求めた僕が間違いでした、すみません。…と書くはたからおもったのは、加藤の言葉が独白だったのにたいし、ツイッターの言葉は独白でありながら他人の目も意識する点で違ってくるのかな、そしてその違いが加藤と一般人との違いで、もし加藤がツイッターを使いこなしていたら、あるいは一般人のなかの同じような人がツイッターを使っていなかったら、結果は入れ替わっていたかもしれない、というような恐ろしく単純なことを言いたかったのでしょうか?うーん、やっぱりよくわかりません(笑)
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