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梅崎春生「幻化」

出典:梅崎春生『桜島・日の果て・幻化』(講談社・講談社文芸文庫・1989年)
評価:★★★☆☆

梅崎春生第二弾。「桜島」の妙な魅力にひかれて、同じ文庫に収録されている「幻化」を読んでみました。こちらは、「桜島」と比べると老成した感があり、筆の赴くままに思い出すことをぽいぽい書いていったというような感じ。妙な力みがなくってすらすら読めました。会話も多かったしね。

精神病院を抜け出した語り手の五郎が、飛行機に乗って大分に降り立ち、そのまま若い頃住んでいた熊本周辺をぶらついて最後は阿蘇を目指すという内容。筋だけをまとめるとこうなっちゃうんですがこの小説の面白さはこんな筋にはなくってむしろその場その場で思いつきのように書きつけられる感慨や、ふっと浮かんでくる過去の思い出、現地の人たちとのゆきずりの会話、そういったところがふわふわつかみどころなく楽しく読めます。寝ぼけてとりとめのない夢をみているような感じでしょうか。

自分の今いる状況をびしっと整理してみせたり、分析的な思考を展開してみたりが見られないのは、「桜島」同様です。梅崎のよさは、誤解をおそれずにいればあまり賢くないのだけどなにかこう、こだわりたいものがあって(それは作中でははっきり語られません)、そのこだわりに決して肉薄はできないのだけどその磁場にはとらえられて、まわりをぐるぐるとまわり続けるような、永遠に迂回し続けるところにあるのだと思いました。

ぐるぐる迂回すること自体は他の小説にもみられるけれどそこで無理にさかしらにはならず、高踏にもならず、晦渋にもならず、ただ「なんとなく」ぼやぼや考え続ける。考える、という言葉をつかうのも憚られるくらいとりとめのない思いつきが延々繰り返す感じ(笑)
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