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大森兄弟「松ぼっくいとセミの永遠」

出典:『群像』2012年10月
評価:★★☆☆☆

宿題の工作に、おばあちゃんの作った松ぼっくい人形を提出してひと騒動おきる小学校五年生の「僕」一人称語りのお話です。ひと夏のドキドキ、セミの鳴き声が聞こえなくなって新しい季節に、みたいな描き方って、うんざりするほど繰り返されてきたもので、いまさら感があります。小学生とか中学生がこれを読めばぴったりなのかもしれませんが、僕には無理だったなあ。もう一点注文をつけるなら、ここに描かれているのは、小学生あるあるばっかりで、それはそれでノスタルジーに訴えかけてくるところもないではないけれど、この作品ならではの新しさというのは特に感じられませんでした。通俗イメージをきっちりなぞっている感じ。既視感ばかりでした。

詰めも甘い。お婆ちゃんのつくる人形が、松ぼっくり人形じゃなくて、「松ぼっくい」と呼ばれているところがポイントでどうやらこれは方言のようなものと仄めかされるのですが、一方お婆ちゃんの話し言葉は方言に染まらない無味乾燥なものです。

「すこやか苑の安西さんに習ったんだ。でき栄えがいいってみんなの前でほめられてさ、そこで働いてる人らが自分にも作ってくれって言ってきてな。他にすることもないし、仕方なく作ってる」(p.168)

この、ラノベ臭。顔のパーツは十代少女で豊齢線だけ書き足されて無理矢理「おばあさんキャラ」にこじつけられているへたくそなアニメ絵を想像してしまいました。お婆ちゃん、というのがリアルじゃなくて具体性のない記号に過ぎないんですね。

話の組み立てとして、語り手の僕はドキドキしながら松ぼっくい人形を分解していきます(このシーンはドキドキ感持ちながら読めました!)が、そうするまえになんでお婆ちゃんに電話して作り方や材料についてたずねないのか。小5でリダイヤルできないのか。そうか、できないのか。

作品全体を通してみると大きな傷じゃないのかもしれないけれど、こういう細かいディティールに引っ掛かりを感じてしまったこと、あとは新しさのない通俗イメージをなぞるものに過ぎないと僕には読めたこと、これらから星二つと判断しました。中学生のときくらいに読めば、もっとたのしめたんだろうな、これ。
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