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高尾長良「肉骨茶」

出典:『新潮』2012年11月号
評価:★★☆☆☆
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肉骨茶って↑のような食べ物なんですね。ググってはじめて知りました。東南アジア風おでんかな(笑)

さて、滝口悠生つながりで2012年度の新潮新人賞受賞作です。最年少受賞だそうで表紙にもそう書かれてあります。作品は、拒食症の女の子が母親との旅行中、マレーシアで一人ツアーから抜け出し、旧友のゾーイーと再会して一晩を過ごすという話。新人賞なので審査員の選評がついているのと、『新潮』には作者インタビューもあって楽しみにしていました。年頃の女の子と食の関係は耳タコのテーマながら、できあいの母子関係に回収してしまわず、食べ物にたいする憎悪をひたすら憎悪として書ききったことが評価を集めた理由でしょうか。

因果で説明してしまわないとなると何より描写の筋力が必要になると思いますが、この作品は言葉のマニエリスム、フェティシズムがまだ抜けきっておらず、その点描写力といっても荒削りで読者のことは置き去りだなあ程度の印象しか残りませんでした。肩に力が入りすぎというか、書き手本人が書きたいだけで、読み手につたえることは副次的というか。しかしそこに「やむにやまれぬ」感を読みとった選考委員がこの作品を押したんでしょうね。

説明をしないどころか、仄めかすこともほとんどないので、僕はどうしてもそこに戸惑ってしまいました。いちいち理由が必要だ、なんていうつもりはないですし、仮にそんな話があればそれは読み手の自由度を奪ってしまうつまらない作品だと思いますが、それにしたって一義的な解釈はなくっていいから、何通りか読み解けるヒントのようなものを仕掛けておいてほしかったとも思いました。

拒食症で骨と皮だけになった赤猪子に対して鉱一はなんでいきなり魅力を感じるようなそぶりを見せたのか、ゾーイーと赤猪子との仲はなんであんなに親密なのか、ツアーから忽然と人ひとりいなくなれば大事件じゃないのか、あれだけ食べ物に嫌悪を感じていた赤猪子がなんで歯を肉骨茶に当てたのか。もういろいろと疑問がつきませんが、これに対する解答のヒントは当然用意されていません(笑)。もしかして小説の書き方本なんかで、「説明」じゃなくて「描写」が大事!なんて書いてあるのを真に受けて、一切の説明を排したとかそういうことだったりして。

ともあれ、受賞者インタビューでは「古典が好き」と答え、受賞のことばでも「自分自身を越えてゆく努力を怠らない」と宣言している書き手でまだ19歳。将来性に期待の、頑張りま賞というところでしょうか。頑張ってください。
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