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門脇大祐「黙って喰え」

出典:『新潮』2012年11月号
評価:★★☆☆☆

新潮の新人賞二つでてたのか、と発見して(僕が見落としてただけですが)、門脇大祐「黙って喰え」。ある男子大学生のもとに、かつて同じマンションに住んでいた同級生から突然手紙が届きます。

砂原くん、わかったんだ、サナダムシなんだ。(p.46)

手紙のはじまりはこんな感じ。これだけでドキドキワクワク、期待をかきたてられて、冒頭から作品世界に引きこまれました。ただ僕にとってはここがピークで、あとは大学生と関係のある人たちとの会話を主体に、フラットな話が続いていきます。要所要所ではさまれる友達からの手紙が、そのフラットな日常とは対照的に、暑苦しい電波な内容の文面なのでいいアクセントになるのですが、それもビジュアル的な面からで、手紙が来たからといって、主人公の男子大学生はなにか日常生活や思考に影響をうけるということはありません。手紙が次々くるも、なぜお腹の中にいるというサナダムシが他人の声を受けとってくるのか一向に話が進展しません。日常パートは淡々とすすみ、サナダムシパートは堂々巡り、最後の最後で二つのパートが接触するのですがそれもなんだか拍子抜けでした。まあこの主人公ならこの終わり方も納得はいくんですが。

僕だったらこんな電波な手紙きたら一通目を読んでワクワクしつつぞっとして、二通目からは読まずにすてたり嗤いの種にしつつ友人に相談するというような、アンビバレントな対応をとっちゃうかなあ。面白半分、恐さ半分。三通目以降は、「これはいじったらあかんやつや」と考え直してそっとゴミ箱に捨てると思います。主人公が「くらげ」と呼ばれて、つかみどころがないぶん、手紙がきたら一応読むけれどそれからなにか影響受けたりはしないよーというのがフラットな日常(=作品世界)をフラットなままに停滞させてしまった要因かと思います。僕にとっては、結局、そういう人っているだろうけれどあまり理解できないタイプの人、が主人公だったので読んでいて、あんまり面白みは感じませんでした。いろいろな人間関係もでてくるけれど、こういう主人公だから話が関係が深くなっていかないのだなあ。そういう関係の面からいっても、フラット。

この、あからさまでないところ、抑制のきいているところ、さりげないところ、起伏の少ないところが、読む人が読めば上手い!と感じられるようなこの書き手の特質かも知れません。次回作に期待しています。
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