スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

戌井昭人「すっぽん心中」

出典:『新潮』2013年1月号
評価:★☆☆☆☆

交通事故で首がおかしくなり治療休職中の男と、家出少女とが出会って、霞ヶ浦までスッポンをとりにいく話。なんだか無駄が多くて、スカスカの短編。描写はフラットだし、エピソードは断片的だし(船着き場のエピソードはこの短編作品に必要だったでしょうか)、全体として完成度は低かったです。なにか、シナリオ科学生の習作を読まされたような、駄目な邦画を見せられたような、そんな読後感。

こういうダラダラした日常、とるにたりない出来事の積み重ね、とりたてて大きな事件が起こるでもない日々、というのがあるとしても、それを作品として、短編小説として、そのまま書いていいというわけじゃない気がします。取るに足りない出来事があるという事実と、それを短編小説として構成する作為との間には、ものすごく開きがあるはず。どこかに読み手にたいする読ませる意識がないと、ほんとうにつまらない、そんな作品でした。

「そうなんです。やっぱそう見えるか。本当は十九歳なんです。世の中、はたち超えてないと、いろいろ面倒でしょ。お兄さん、名前は?」
「田野、田野正平。きみは?」
「モモです」
「モモ?」
「うん」
「あだ名?」
「違う。漢字の百が二つでモモです。名字がモモ」
「本名?」
「本名」
「出身は?」
「九州、福岡」
「下の名前は?」
「下の名前はダサいから、聞かんで」
「モモモモ子とか?」
「それ、つまらん。モモでいいから」(pp.84-5)

小説を書くとはどういうことか、その自分に対する批評=問いが徹底的に欠けた作品です。
スポンサーサイト

コメント

Secret

プロフィール

読む人

Author:読む人
小説の感想を、自分基準で。コメントはご自由にどうぞ。

★☆☆☆☆(面白くない)
~★★★★★(面白い)で評価。

最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。